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2001年02月12日

◆21のいのちの物語

 久々の誉める番組批評(最近けなしてばっかりだったもんな)。
 NHKのETV特集再放送「フジコ」。良かったです。
 ピアニストが栄光を掴み、難聴によって挫折し、日本に戻ってきた、という話。最初は、マスコミ特有の「上から下々を見て自分の優位さを自己認識する」偽善的なもの、と思って、消しました。だから最初の30分は見ていません。でも、30分見ただけでも、内容のすばらしさは良く分かりました。ナレーションをつけず、字幕だけで事実関係中心の解説を行い、あとは彼女との言葉のやりとりを伝える方法を採っていたので、見事に「彼女が自分の人生を、音楽をどう考えたか」に純化していました。取材者のフィルターが薄く、彼女のありのままの姿ががしっかりと伝わってきていました。
 見栄や自己美化もあるでしょう。本当の事を言っていない部分もあると思います。しかし、この点を過度に取り払い、取材者の考える彼女を描いても、現実感が無いし、視聴者へ訴えかけるものを大きく削いでしまいます。そうするのではなく、なるべく本心を語らせる環境のみ作ることに専念し、あと彼女の奏でるピアノで臨場感を増す(これも彼女の語る「言葉」ですし)。彼女の部屋や生活を追い、表情を追って味付けをする。変な同情は無く、ありのままを伝える。生半可な解説よりもずっと説得力があります。
 やはり、生半可でない栄光を体験し、生半可でない挫折をして、それでも前向きに生きている人間の言葉は重いです。「私は私のラ・カンパネラ(曲の名前)が一番好き。他の人の音が好きじゃないから。機械じゃないんだから多少間違っても構いはしない。壊れそうなカンパネラがあっても良いでしょ?」という言葉、決して虚栄心が言わせた言葉では無かったです。挫折は自分探しの期間である、という事は十分に体験していますが、いつになったらこのような自負が持てるのか、自分に対し絶対的な価値を持つようになれるのか、気が遠くなるような思いで見ておりました。

 いつかsoulが残るはず・・・。最近買った絵はがきの言葉。
 ・・・まぁ、頑張ります。

 しかし、ETV特集は個人を描く上で良い作品が多いね。「いのちの物語」というタイトルに名前負けしてないもんなぁ。新聞じゃ、どうひっくり返してもできない手法ですわ。

Posted by mino at 2001年02月12日 04:09
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