2001年02月08日
◆二律背反
背反する要求のバランス。
簡単に見えて、これほど難しい事はありません。そして、世の中で議論になっている事は、大概この線で説明が付きます。
「カリフォルニア州の電力供給問題」。「安価な供給」と「安定的な供給」の狭間で揺れています。朝日新聞等は「自由化の波は止めてはならない」と言いますが、自由化の中で安定的供給を如何に実現するかには触れられていません。ユニクロの服やソニーのパソコンが供給不足になっても、それほど困りません。これらは自由にやってもらえばよろしい。しかし、電力は近代世界における最大のライフラインです。一方、関西電力のように扇動的に夏場の安定した電力供給→原発の開発、という、分かるような分からないような説明で、コストを考えているのか考えていないのか分からない「神殿」をポコポコ建てる、というのも、病んでるなぁ、という印象を受けます。
物価下落と景気の関係。主に「良い物価下落」と「悪い物価下落」という説明で見方が変わってきます。近時の物価下落はイノベーション(広義の技術革新)によるもので、政策云々で変わるものではない、という見方と、需要不足が原因であって、需要喚起政策を強めるべきだ、という見方。これも、実際の物価下落には両者の要素があり、なかなか議論は難しいです。イノベーションを促進する事が日本の生き残る道であり、また、競争に敗れた企業を保護するのも、経済効率から見て望ましいものではありません。一方、物価下落は実質的な債務負担を増加させるので、金融という経済の血流を悪くし、「壊死」を起こす危険性もあります。
こういう、微妙な二律背反では、システム的な情報が不可欠です。なぜ、加州では電力問題が起こっているのか、自由競争と両立するような規制は無いのか、そういう視点がないと、「とにかく自由競争を」では、単なるイデオロギーの表明でしかなく、問題を解決するものとはならないでしょう。我々は圧力団体ではなく、「安価」も「安定」もどちらも同じくらい必要な立場なのですから。
また、結果責任でしばらく様子を見る忍耐も必要です。特に経済問題では、数年という期間で政策運営を誰かに任せ、引っ張ってもらうしかありません。両方とも尤もであり、また、迷っているだけでもダメなのですから。
・・・「システム的思考」と「忍耐」。ま、どっちも日本に欠けている事は間違い無いです。
