2001年06月06日
◆外相の発言力
内輪もめにはあんまり興味無いので、別の面から書くことにします。
田中外相が出たことで、外相の発言力の大きさが分かった、というのが個人的感想です。
個人のキャラクターという要素が大きいのですが、それを外交全般に生かせる機会は多分にあるでしょう。
組織改革は確かに重要です。しかし、それはあくまで内部の問題であり、国民に訴えかけて云々するものでは、基本的にはありません。
不正を監視し、能力ある者を重用する。それだけの話ですから、内輪でしっかりやれば良い。
それだけに田中さんを使うというのは、もったいないでしょう。
外相が発信するものとして、より期待されるのは、大まかな外交の基本方針を出すことです。
外交での改革で最も期待され、重視されるべきはそこにあるんじゃないでしょうか。
日本は2国間の個別交渉には強さを発揮するが、多国間交渉がダメと言われてきました。
ちょっとステレオタイプ的ですし、多国間交渉で日本が大きな役割を果たす例はたくさんあるのですが、こう思われてしまう原因は、大きな戦略が無く、国ごと、問題ごとの優先順位が無い、と言うことなのではないでしょうか。
少なくとも分かりづらい。
明らかにしない事が有利に働くことは多々あります。
安全保障環境を中心に、フォロワーとしての役割の要素も多いです。
しかし、示すべきものははっきり示さないと、分かってもらいたいものでも分かってもらえなかったり、操作させられたりしちゃうわけです。
細かな発言で揚げ足を取られるのも、確固とした土台が見えづらいからです。
これまでのゴタゴタを打ち消す意味でも、外相の声で、ドクトリン的なものを発する良い機会なんじゃないでしょうか。
別に内容を奇抜にする必要はありません。
アメリカ、EUと共に、世界の経済環境を支えること。
アメリカと共に東アジアの平和と安定を支えること。
中国の成長を地理的歴史的関係の文脈から捉え、独自の立場から、軍事的伸張を警戒し、経済的社会的協調を模索すること。
後の世代と人道を考え、国際的な協調体制を支えること。
他の点は、これらの文脈に沿ってやること。
そんな内容です。それだけでも十分効果はあると思います。
田中さんはアメリカとの関係にターニングポイントを考えているようですが、わたしは、対中外交を期待したいです。
それを効果的なものとするためにも、対米重視の姿勢は崩して欲しくない。
省内に任せ、色が付くのが気に入らないのなら、民間を使えばいい。
実行力が無くても、示唆に富み、有益な意見を持っている御仁は、こと外交に関してはたくさんいますから。
「骨太の方針」が必要なのは、なにも構造改革だけでは無いです。
せっかく顔が見え、発言力が絶大な外相が出たのですから、しっかり外交して欲しいです。
罷免なんて、本当にもったいないですわ。
